(知事)
【韓国忠清南道との友好協定締結5周年に係る訪問の成果】
次は、韓国忠清南道との友好協定締結5周年に係る訪問の成果であります。
9月10日、月曜日から、9月14日、金曜まで、韓国・忠清南道(チュンチョンナムド)におきまして開催された友好協定締結5周年記念式典にご招待をいただきましたので、韓国を訪問いたしました。
まず、忠清南道では、4月にオープンしたばかりの道立図書館を見学する機会を与えてくださいました。大変に、自然光を利用した全部開架式の素晴らしい図書館で、うちが今、図書館について関心があるということで、この図書館、万全の体制でわれわれを迎えてくださったということであります。この道立図書館におきまして、平成25年4月に締結した両県道の友好協定締結5周年を祝う記念式典が開かれて、そこで今回初めて、この7月に就任されました梁承晁(ヤン・スンジョ)新知事とお目にかかったということでございます。
会場には忠清南道の風景を写した美しい芸術写真と、静岡県の芸術写真とが相並びまして、それ自体、芸術的な空間がしつらえられていたところでございます。そして、今後も両県道のさらなる交流の深化に向けて取り組みを進めていくことで一致しました。梁(ヤン)知事さんは特に、本県の健康寿命などの施策に高い関心を持たれて、できるだけ早く本県にお越しいただくよう、正式にお伝え申し上げました。
彼は国会議員を10年以上務められていて、福祉関係の委員会の責任者も務められたということで、健康福祉に大変高い関心をお持ちで、本県が健康寿命日本一と、世界トップクラスだということでですね、そうしたことでぜひ訪問したいということでございました。
それから、この式典に合わせまして、版画家、本県の誇る牧野宗則(まきの・むねのり)先生が忠清南道にぜひということでご寄贈いただきました版画をお届けいたしました。「日本、静岡県を象徴する富士山が美しく描かれていて、とてもうれしい」という道民の方々からお話を承りまして、大変に好評をいただいたところでございます。皆さまに、この牧野さんの素晴らしい版画を楽しんでいただけるということに相成りました。
また東アジアの地方政府間における農業政策の共通の課題を話し合う「東アジア地方政府3農フォーラム」、3農というのは、三つの「農」で、「農民」、「農村」、「農業」ということでございますが、これらを励ましていこうというフォーラムです。これにも私自身、出席いたしました。
先端農業プロジェクトである「AOI(アオイ)プロジェクト」や多彩で芸術品的なレベルの農芸品の振興など、本県の取り組みを韓国や中国、マレーシアの農業関係者約600人にご紹介いたしました。また、当日は本県の農林水産戦略監の芦川君も出まして、AOIパークについて詳しく説明したということで、大変関心を持たれたということでございました。多分、梁知事さんはそこも訪問されるのではないかと思います。
このほか、百済時代の第25代の王さま、武寧王、武力の武という字に丁寧の寧という字を書きまして、武寧王の墳墓ならびに博物館を視察いたしました。武寧王陵から出土した腕輪、青銅、実物大の墓石の模型など、展示されたどれもが大変興味深く、誠に立派な博物館で、大変関心いたしました。この武寧王さんという方は、日本書紀によりますと、日本でお生まれになったという記録になっておりまして、その没年等を勘案すると、今回1971年に武寧王のお墓が発掘され、しかも全く無傷で盗掘がなかったということでですね、大変大きな話題になっているところでございますが、平城遷都1300年祭のときに、天皇陛下のお言葉がございまして、武寧王の血筋に当たる高野新笠が桓武天皇のお母さんということも言われましてですね、そうしたご縁もある大王であります。そこに、そのお墓があったのが忠清南道なんですね。忠清南道は昔の百済が滅びたときに、その3年後、663年に救援に行ったのが静岡の庵原の大王以下若者1万人であったわけで、その人たちが、船で百済の人たちを日本に連れてきたと、そして奈良という都が生まれたという、そういう経緯がありましてですね、一気にこの1300年の歴史が走馬灯のように見えたという、そういう経験をいたしました。忠清南道との絆は宿命かなと思ったくらいです。
さてソウル特別市におきましては、日本の総務大臣に当たる韓国政府の金富謙(キム・ブキョム)、金銀の金に富士山の富、それから謙虚の謙という金富謙行政安全部長官と面会いたしました。まず長官から台風第21号、北海道胆振東部地震に対するお悔やみのお言葉を頂きました。そして本県の防災対策について非常にご興味を持たれていまして、ぜひ同部の職員を本県に派遣したいということで、本県が進めている防災対策について学びたいという申し出がございましたので、ぜひこれも今後の交流につなげていきたいと思っております。
それから経済関係では韓国経済界の要人、韓日経済協会というのがございます。金銑(キム・ユン)会長さんと徐錫崇(ソ・ソクスン)副会長さんと面会がございまして、韓国内における県産品の輸出事例などを紹介したのでありますが、実はこの韓日経済協会、日本では日韓経済協会というわけですが、1969年の初開催以来、一度も中断することなく日韓経済界のトップが一堂に会して両国の課題を話し合う「日韓経済人会議」というのがあるわけですが、この経済人会議をですね、会長さん、副会長さんの方から、ぜひ静岡県で開催したいというふうに言われましてですね、異存はないわけですが、何人くらい来られるのか、施設が整ってるか等々、どうぞ見に来てくださいと言ったところでありますが、ともかく、そういうお話が向こうの方からございました。それからまた、有名大学を出てもソウルでは今、仕事が厳しいらしいんですよ。だから日本で仕事ができるようにしたいと。富士山のある静岡県で仕事ができるようにならないかということにも関心があるということをですね、この方は今年旭日大綬章を頂かれてるんですね。大変に立派な、お話ですぐ分かりましたけれども、人格者で、静岡県に対するこんなに高いご関心があるということを知って、光栄に思った次第でありますので、なんとか形にしたいと思っております。
それから、韓国の初代文化部長官、またソウルオリンピックの開会式のプロデュースをされました李御寧(イ・オリョン)先生、現在は韓中日、韓国・中国・日本、韓中日比較文化研究所の理事長をなさっておりますけれども、李御寧先生と対談いたしました。李御寧先生、この富国有徳の地域づくりを褒めていただきまして、さまざまな激励の言葉を頂戴いたしました。記録をいたしましたので、お許しを得て、対談内容はふじのくに2019年の春号に掲載する予定になっております。お楽しみいただければと存じます。
このほか、元国務総理、日本における首相ですが、またその前に忠清南道の知事でもいらした李完九(イ・ワング)先生、李完九先生は、今年の6月20日に開催した朝鮮通信使記念茶会にもご出席いただいた親静岡の要人でございますが、と会談いたしました。また元の韓国駐日大使の柳興洙(ユ・フンス)先生、それからついこの間まで韓国大使をされておりました李俊揆(イ・ジュンギュ)先生ともお目にかかり、さらに現在、韓国と米国、韓米協会会長ドクタージン・パク、朴振(パク・ジン)先生、前の国会議員でもありますが、この方などとも時間をかけて面会する機会を得まして、本県が取り組む地域外交について深いご理解を得まして、また励ましも頂きました。
今回の訪問によりまして、忠清南道との強い信頼関係が構築できているのを実感いたしますとともに、韓国の本当にたくさんの要人と短い期間に会っていただきまして、都合をつけていただいてですね、本県の取り組みに関してご関心があるということが分かりますと同時に本県のアピールもしたところであります。
ちなみにソウル特別市では、日本大使、長嶺安政(ながみね・やすまさ)在韓国日本大使ともゆっくりご面談をする機会をいただきました。長嶺大使は「日本政府としても、静岡県と韓国との積極的な交流に注目している」という話をされまして、静岡県の地域外交施策に対して力強い後押しをいただいたということでございます。これはインドネシアに行きましたときにも、石井大使ですかね、も同じようなことを言われてたんですね。アジアでわれわれのやっていることを理解してくださっている大使さんが複数いらっしゃるということでございます。今回の訪問成果を基礎としまして、また韓国のたくさんの要人との人的ネットワークを生かして、本県と韓国、また本県と忠清南道との交流拡大につなげたいと考えております。
【東京2020オリンピックに向けた屋外広告物対策】
三つ目でございますが、東京2020オリンピックに向けた屋外広告物対策についてであります。
東京2020オリンピック・パラリンピック自転車競技の会場となります伊豆半島では、県、市等からなる伊豆半島景観協議会におきまして、幹線道路沿いの違反野立て看板約2200件を把握しまして、今年1月から徹底した是正指導を実施しております。
その結果、伊豆半島の違反野立て看板につきましては、8月末まで目標値584件でございましたが、585件と1件上回りまして完了いたしました。概ね計画どおりに進捗(しんちょく)しております。
また、先月コースが発表されましたロードレースにつきましては、ゴールが小山町でございます。そこで、小山町ならびに通過する御殿場市、裾野市と共に、コース沿線の野立て看板の調査も行い、コース沿道に約150件の違反看板を確認したところであります。この150件につきましても、伊豆半島と同様、是正指導を開始いたしました。
東京五輪に向け、県と市が連携しながら着実に違反広告物の是正を進めたいと思っております。また聖火も、多分西から東までですね、いろんな所を通ると思いますので、野立てで違反の看板というのは、市町の首長先生ほか市町の方々のご理解を得てですね、静岡に入ったら海と山の風景の画廊であるということを文字通り実践して準備したいというふうに考えているところであります。これからまたいろんなサミットがございますが、サミットというのは県の首長先生との懇談でありますけれども、そういう席でもぜひ美しいふじのくにづくりということで、野立て看板、違反看板についてはですね、撤去というのを徹底してまいりたいというふうに思っております。 |